吹奏樂CDレヴュー

オランダのバンド その1

Symphonic Wind Orchestra St.Michael of Thorn
cond: H.Friesen
Symphonic Wind Orchestra St.Michael of Thorn (World Wind Music 500.034 WWM)

T-bone Concerto (J.d.Meij / solo: C.Lindberg)
Symphony nr.1 'The Lord of the Rings' (J.d.Meij)

 トロンボーンの名手、C.リンドベルイを招いてのライヴCD。オランダの吹奏樂演奏は、中低音のハーモニーを分厚させてゐるせゐか、テンポまで重くなってしまってゐる場合があり、なかなか好きな演奏に出會へなかった感がある。このCDに収録されてゐる2曲も、分厚いハーモニーが存分に活かされた曲であるが、聖ミヒャエル・トルン吹奏樂團の演奏は、決して引きずることなく、氣合たっぷりに前進していく元氣が感じられる。「指輪物語」のCDはいくつも出ているが、このライヴ盤は、ワタシの中では3本の指に入る熱演。「これは本當にライヴ録音なのか!?」と疑いたくなる程に手堅く、かつ激しい。「Tボーン協奏曲」は、折角の強者同士のカップリングにも關らず、曲自體が今ひとつぱっとせず、リンドベルイの音も「汚いトランペットの音」みたいにしか収録されてをらず、非常に殘念。

LOCH NESS
cond: P.Kuijpers
The Dutch Military Band

Symphony nr.3 'Slavenska' (B.Kozjenikov)
'Loch Ness'- A Scottish Fantasy (J.de Meij)
Roumaniana op.102 (J.Absil)
Pacific Celebration Suite (R.Nixon)

 B.コジェフニコフの「交響曲第3番スラヴェンスカ」は、スラヴの舞曲風で、中低音域が分厚く、格好いい曲。ユーフォニアムの音色が素晴らしい。J.デ・メイの「ネス湖」は「交響曲第1番 指輪物語」風で、途中にバグパイプの旋律も登場して、愉しい。J.アブシルの「ルーマニアーナ」は、少々退屈な演奏。ニクソンの「パシフィックセレブレーション組曲」は、オランダの吹奏樂團特有の、ずんと重いサウンドが心地よかったものの、もっと強烈な感じが欲しかった。