11/01/10 金の樂器と銀の樂器

 高田馬場の中古樂器屋に行き、金メッキのユーフォニアムを吹いた。店員さんも、金メッキだとどんな音になるのか聽いてみたいと言ってゐたので、吹き比べ用に小生のサテンシルバーのユーフォニアムも持っていく。どちらもウィルソンTA2900の太管なので、表面の仕上げやメッキでどの程度變るものなのかを比べてみるのには、良い機會であった。

 まづ、小生の TA2900SS(サテンシルバー仕上げ)で音の當り心地を確認する。大體こんなものかと掴んだ處で、お店の TA2900GP(ゴールド仕上げ)を試奏。サテンのやうに一音一音確實に當てようとしなくても、音が出る。逆に言ふと、いつもの調子で當てようとしても、あまり效果がなく、まったりとした音のままであった。全體的に柔らかな音がしてゐた。樂器の個體差もあらうが、表面の仕上げの違ひも否定できないであらうと思ふ。

 2臺を吹き比べてゐるうちに、ある考へが浮び上がってきた。小生の場合は、サテンの樂器を吹くのと、ゴールドの樂器を吹くのとでは、明らかに吹き方が變るであらうと。少なくとも今の小生の吹き方のままでは、ゴールドの樂器でいい演奏が出來さうにはない。ゴールドの樂器のよりよい音色を探すことに時間を費やすことであらうと思ふ。

 さう考へてゐると、段々面白くなってきた。良い音が出せるやう努力するといふことは、樂器の中に未だ眠ってゐる素晴らしい音を、自分で見つけだして行くことに他ならないからだ。自分の樂器に取組んで、よりよい音を見つけだして行くことは、己の腕も上がり、樂器自體もどんどんいい音になっていくといふ、相互成長の道なのではないか、と思へて來たのであった。まだまだ、樂しみな道である。